発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012220171
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87歳女。昼食後に嘔吐し、その後胸痛が出現し、発症約5時間後に救急搬送された。胸部X線で両側胸水貯留と縦隔気腫を認め、上部消化管内視鏡で多量の食物残渣を認め、食道穿孔が疑われた。造影CTでは、縦隔気腫、頸部皮下気腫、右側優位の両側胸水貯留を認め、下部食道右壁の破裂を疑った。発症から約7時間後に緊急手術を施行した。下部食道10時方向に約6cmの全層性の縦創を認めた。上部胃の一部は食道裂孔から滑脱型ヘルニアとなり、胸腔内から触知可能の胃内に大量の食物残渣が貯留していた。破裂孔が巨大で穿孔部食道壁の脆弱性と周囲組織の高度汚染のため、縫合閉鎖は困難と判断した。全身状態が不良で一期的消化管再建は困難と判断し、胸部食道切除、頸部食道瘻造設を施行した。また、経腸栄養目的に空腸瘻を造設し、両側胸腔内には低圧持続吸引ドレーンを留置し、手術を終了した。第32病日に胸骨後経路胃管再建術を施行し、経過良好で第62病日に転院し、術後2年を経て健在である。
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