発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011219009
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78歳男。便潜血陽性、下部消化管内視鏡で虫垂開口部に粘膜下腫瘍様隆起性病変を認め入院となった。慢性腎不全による貧血と低ナトリウム血症、血清CEA値の上昇を認め、腹部CTでは腸腰筋に接し内部が低吸収域の径1.5cmに腫大した虫垂を認めた。腹部MRIで虫垂内腔はT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号に描出された。以上の所見から、虫垂粘液嚢腫と診断し、血清CEA値が9.2ng/mlと上昇していたため、悪性を否定できず、侵襲性を考慮して腹腔鏡下回盲部切除を施行した。後腹膜に癒着した緊満に腫大した虫垂の内容物を漏出させないよう剥離し、回結腸動静脈を根部から少し離して処理し、創縁保護器具を装着後、D2郭清および回盲部切除を行った。虫垂は径2cm、長さ6cmと根部まで著明に拡張し、内腔は淡黄色のゼリー状の粘液で満たされていた。病理所見では軽度の異形を伴う高円柱上皮で紡錘形の核を有し、乳頭状構造で増殖し、虫垂粘液嚢胞腺腫と診断した。術後1ヵ月に血清CEA値は正常化し、術後3年の現在、上昇は認めていない。
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