発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328912
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59歳男。患者は高癌胎児性抗原(CEA)血症を主訴とした。他院で諸検査を受けるも、原因が判明しなかったため、著者らの施設へ受診となった。胸腹部CTでは腫大した虫垂に壁肥厚が認められ、比較的強い造影効果も認められた。また、FDG-PET/CTでは盲腸にある長細い軟部腫瘤に一致して異常集積がみられ、虫垂癌が強く疑われた。大腸内視鏡を施行した結果、虫垂開口部に一致して白苔が付着した潰瘍がみられ、同部位からの生検により高~中分化腺癌と確定診断された。手術を施行すると、病変部では粘液が露出して腹膜へ浸潤しており、腹膜浸潤があると思われる部位を含め回盲部切除術、D3リンパ節郭清が行われた。病理組織学的所見では表層部は明瞭な異型腺管を形成しており、深部では豊富な粘液産生性を示し、粘液プール内に小集塊状の腫瘍細胞が浮遊する腫瘍組織が認められた。優勢な像は表層部から中層の高分化腺癌で、深部は粘液癌の像を示していた。尚、術後は腸閉塞で再手術を要したが、経過は良好で、目下は外来経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009