発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013952
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
80歳女。2型糖尿病、高血圧、腹腔鏡下胆嚢摘出術の既往があり、糖尿病の通院中に便潜血陽性で上行結腸腹側に腫瘤を指摘され受診となった。CEA、CA19-9は正常範囲内、右側腹部に弾性硬で腹壁とともに移動する腫瘤を触知した。造影CTで右下腹部腹腔内に腹壁に接する径6×3cm大の境界明瞭な腫瘤を認めた。造影MRIではT1強調像で等信号、T2強調像で軽度高信号を呈し、大腸内視鏡で径10mm大のポリープを二つ認め、腹壁デスモイドと判断し小開腹で腹壁腫瘤摘出術を行った。右側腹壁の径60×40mm大腫瘤を腹横筋、内腹斜筋の筋層ごと摘出し外腹斜筋腱膜は温存し、腫瘤は筋層でとどまっていた。表面白色でカニみそ色の粥状の内容物を有する比較的薄い壁の嚢胞性腫瘤で、病理所見より内側は表皮に類似した角化重層扁平上皮で裏打ちされ、内側は上皮が剥離消失しており、腹壁由来の類表皮嚢胞(epidermoid cyst)と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011