発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004272424
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78歳男.腹部腫瘤を主訴とした.30歳頃,胸膜炎の既往があった.自覚した左下腹部の腫瘤が,徐々に増大した.胸部X線所見で,右肺に結節影と透過性の低下および両側の胸膜肥厚像を認めた.腹部超音波検査で腫瘤に一致する低エコー像を認めた.腹部CTでは,腹壁に小石灰化巣を伴うlow density massを認めた.針生検を施行したが,確定診断には至らなかった.腫瘤摘出目的で手術を施行したところ,膿瘍腔は壁側腹膜まで存在し,腹腔との交通はなかったが,直下に大網,腸間膜には白色顆粒状の小結節が多数存在した.病理組織所見で膿瘍壁に乾酪壊死,Langhans巨細胞を認めた.術後のツベルクリン反応は陽性で,喀痰の培養,PCR検査は陰性であったが,術中採取した膿汁の培養で結核菌を認め,PCR検査も陽性であった.外来でisoniazid,rifampicin,ethambutolの三剤併用化学療法を約1年間行い,腹部CT検査で腫瘤の消失を確認した.現在まで再燃は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004