発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013951
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30歳代女。2日前からの上腹部痛が徐々に右下腹部に移動し、急性虫垂炎を疑われて紹介受診となった。反跳痛、筋性防御、軽度炎症反応を認め、腹部CTで腹壁直下に結石様15mm大の高吸収、周囲脂肪織の濃度上昇、腸間膜や大網の濃度上昇を認めたが、結節様の高吸収域が腸管内または腸管外腹腔内か判別が困難であった。造影thin slice CTでは、脂肪濃度が上昇している領域内に内腔が存在し、その内腔と前後の腸管に連続性があることを確認でき、結石様の高吸収域とその周りの炎症が腸管内にあると判断することができた。結石様の高吸収域は横行結腸内にあり、同部位の横行結腸壁が限局性に著明な肥厚を伴っていた。以上より、糞石嵌頓による横行結腸憩室炎と診断し、絶食、輸液、抗生物質による保存的治療を開始した。第3病日に腹部所見は軽減し炎症反応も改善した。第8病日に下部消化管造影を施行し、横行結腸の肝彎部付近に憩室を認めた。また、下部消化管内視鏡では右側横行結腸に憩室を認め、周囲に軽度発赤・憩室内部に白苔を認め、憩室炎の治癒期と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011