発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013946
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85歳女。認知症の既往があり腰椎圧迫骨折での入院中に鶏卵大で境界明瞭の右乳房腫瘤を認め、表面結節状の腫瘤を触知した。超音波検査では、境界部は明瞭粗そう、形状は楕円形~分葉状で、内部エコーは嚢胞変化を伴う結節状の低エコー腫瘤像を示した。造影CTでは肝・肺・両側腋窩リンパ節への転移は認められなかった。針生検所見は、Diffuse hyalinizing fibrosis, systic dilatation and apocrine metaplasiaで、いわゆる乳腺症の所見であった。家人の希望により経過観察としていたが、2年後のCTで腫瘍の増大傾向を認めたため、右胸筋温存乳房切除術を行った。術中迅速病理は、腺腔形成傾向を示す円柱~立方上皮の増殖性病変で、細胞異型は軽度ながら、浸潤が疑われる箇所が含まれていると考え、浸潤性乳管癌と判定し、腋窩リンパ節郭清を行った。病理所見より、良性の乳腺筋上皮腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011