発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011292666
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83歳女。急激な腹痛で救急搬送され、腹部全体に著明な圧痛と筋性防御を認め、検査所見では炎症反応上昇、腎機能障害、凝固機能延長、慢性出血所見、コントロール不良の糖尿病、代謝性アシドーシスを認めた。胸腹部造影CTでS状結腸に腫瘍を認め、周囲の動脈とともに直腸へ陥入していた。骨盤内には腸管外の便塊を認め、肝表には腹水とfree airを認めた。S状結腸癌腸重積による穿孔性腹膜炎と診断して緊急手術を施行し、S状結腸の巨大な腫瘤が上部直腸に嵌入し、腫瘍肛門側に穿孔部を認めた。高齢、敗血症性ショックであることより術式はHartmann術を選択し、リンパ節郭清は行わず、皮膚は開放創とした。病理組織所見は95×73×45mm大の2型+1型ともとれる5型腫瘍で、moderately differentiated adenocarcinomaと診断した。術後経過は良好で、創部洗浄とストーマパウチ交換の手技を習熟した後に退院し、本人・家族と相談の上で術後補助化学療法は行わない方針とした。開放創は2ヵ月でほぼ完治した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011