発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011219015
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72歳女。約6年から左腰部の膨隆を自覚していた。今回、同部に疼痛を覚え、その際に便秘、腹部膨満感を伴うようになったため受診した。CTで腰ヘルニアと診断し、左背部に15×11cm大の弾性・軟な腫瘤を認め、容易に徒手還納が可能であったが直ぐに再膨隆した。腹部CTでは左腰背部に腸管を内容とする腫瘤構造を認め、注腸透視では下行結腸が左腰背部の腫隆の高さで屈曲、嵌入し、圧をかけても造影剤は口側へ流れないが、一度通過するとスムーズに横行結腸が造影された。以上より、下行結腸を内容とする特発性左上腰ヘルニアと診断し手術を施行した。手術所見は腹横筋腱膜を圧排して脂肪塊根部に径3.5cmのヘルニア門を認め、脂肪塊を分け後腹膜と思われるヘルニア嚢を見出すると切開にて下行結腸が現れた。結腸垂が一部ヘルニア嚢内に癒着し、癒着を剥離して結腸を還納して後腹膜を閉鎖した。ヘルニア門の閉鎖では周囲に適した筋膜や腱膜を見出せずBarod Meshをヘルニア門の大きさに切り全周を縫着し、補強のため、さらに1枚をonlay patch状に縫着した。術後経過は良好で9日目に退院した。
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