発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011219007
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
80歳男。腹部膨満を自覚し、腹部超音波で多量の腹水貯留を認めた。CRPの高値、造影CTで多量の腹水貯留、腹膜上の結節を認め、大網は肥厚しomental cakeの所見であった。上部消化管内視鏡では、胃体上部~中部に点状びらんを認め、FDG-PETで腹膜、大網、腸間膜に異常集積を認め、腹水細胞診では軽度炎症反応を認めるのみで細菌培養は陰性、腹水中のadenosine deaminase(ADA)は高値であったため、結核性腹膜炎を疑い、診断的腹腔鏡検査を施行した。腹腔内には漿液性腹水が多量に貯留し、腹膜上に播種状に広がる多数の結節を認め、大網は癒着して一塊となっっていた。癌性腹膜炎と酷似する所見であったが、小結節がびまん性・小敷石状に存在しており、癌性腹膜炎とは異なる印象であった。大網と腹膜の小結節を生検し手術を終了した。病理所見で大網、腹膜の結節組織とLanghansの巨細胞、類上皮細胞、軽度の乾酪壊死を伴う結核性肉芽腫を認めたため、結核性腹膜炎と診断した。抗結核薬の化学療法を開始して腹水は徐々に減少し、下部消化管内視鏡検査で回腸末端部まで腸結核所見は認めず、現在も化学療法継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011