発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013305247
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64歳男。全身倦怠感、食欲不振を主訴とした。腹部は膨満、軟で、炎症反応及び腫瘍マーカーIL2-Rの上昇を認めた。腹部造影CTにて胃幽門部の壁肥厚、腹水、及び腹腔内脂肪織濃度上昇を認め、腹腔内に腫大したリンパ節を散見した。結核性腹膜炎を疑って診断的腹水穿刺を行った結果、ADA126.8IU/lと著明高値で、リンパ球優位の滲出成分を認めた。腹水、喀痰、胃液の抗酸菌塗抹、結核菌培養、結核菌PCRで結核菌を検出せず、QuantiFERON(QFT)-3G、ツベルクリン反応は陰性であった。腹腔鏡にて腹膜生検を試みたが、腹壁全体に腸や大網の癒着を認めたため開腹術で採取した。生検で類上皮細胞と一部Langhans型巨細胞の浸潤を伴う乾酪生肉芽腫の形成を認めたことより、結核性腹膜炎と確定診断した。また、結核菌PCR、抗酸菌培養にて結核菌を検出し、QFT-3Gの再検査は陽性であった。抗結核薬4剤併用療法開始後、状態は改善し第27病日に退院した。
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