発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011143666
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結核性腹膜炎と診断された5例を対象とし、臨床記録より臨床症状、腹水所見、画像所見などについて後ろ向きに検討した。初発症状は、腹部症状がもっとも多く、発熱を伴うものも認めた。3例に腹水の検査が行われすべてリンパ球優位の滲出性胸水であった。腹水から結核菌を分離・同定できた症例はなかった。血清CA125を測定した3例いずれにおいても高値で、測定されていた1例のみ血清CA19-9が高値であった。腹部造影CT検査では、全例で腹腔内リンパ節の腫大、腹水の貯留、腹膜の肥厚と多発する腹膜小結節の所見を呈し、癌性腹膜炎や悪性リンパ腫などの悪性疾患が疑われた。腹水貯留は5例中4例で認めた。4例に2HREZ+4HRによる標準治療が行われ、このうち1例は重篤な肝機能障害のため6HRE+3HRの治療に変更した。また、1例は高齢のために、最初から3剤投与による治療が行われ、5例とも治療は完遂して治癒と判断された。
©Nankodo Co., Ltd., 2011