発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016019435
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72歳男。主訴は体重減少と下血であった。血液検査で高度の貧血とCEA上昇を認め、注腸造影検査では回腸末端から上行結腸に達するapple core signを認めた。腹部造影CTでは盲腸から上行結腸にかけて全周性の壁肥厚と周囲脂肪組織の濃度上昇および腸間膜リンパ節腫大を認め、さらに上腸間膜静脈本幹に血栓を認め、進行盲腸癌・腸間膜静脈血栓症と診断した。上腸間膜静脈血栓は緊急性に乏しかったため、予定通り右半結腸切除+3群リンパ節郭清術を行った。病理組織学的には中~高分化腺癌、pT4N1M0、stage IIIBであった。上腸間膜静脈血栓は術中の視診・触診でははっきりせず、小腸のうっ血や側副血行の発達も認めなかった。術後第2病日よりヘパリンを投与し、第4病日よりワルファリンを併用した結果、術後3ヵ月で血栓は消失した。その後血栓および腫瘍の再発は認めていない。
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