発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011034214
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72歳男性。患者は6年前から全身性エリテマトーデス(SLE)にてプレドニゾロン(PSL)7mg/日を内服中であった。今回、腹部CTで腹部大動脈瘤(AAA)が認められたため、著者らの施設へ紹介となった。入院時、腹部CTでは最大径55mm大の腎動脈下AAAが確認された。治療は腎動脈分岐直下から両側腸骨動脈まで石灰化が著明なため、手術を行う際は視野展開に有利な腹部正中切開で開腹を行い、中枢側は腎動脈直下で遮断し、末梢側は腹部大動脈切開後に両側総腸骨動脈に10Frバルーンを挿入し遮断した。更に18×9mmのHemashield Y型人工血管で置換術を行い、手術時間は4時間10分、出血量552mlで他家輸血は行わなかった。その結果、病理組織所見では動脈硬化性所見が認められたものの血管炎所見はみられず、術当日より人工呼吸管理から離脱となり、一時、術後1~3日目にPSL 7mgの静注が行われたが、経過とともに口腔投与に切り替えられた。以後、手術から8日目の腹部CTでは人工血管吻合部に問題なく血流は良好で、患者は16日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010