発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017233266
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67歳男性。野良猫に手を咬まれた1~2週間後より腰痛が出現、近医にて鍼治療を受けるも腰痛が持続したため受診した。初診時、右背部から腰部にかけて痛みがみられた。血液検査で炎症反応の上昇を認め、造影CT所見では腎動脈分岐部の腹部大動脈に最大径22×18mm大の拡張を認め、石灰化の外側に低濃度部分とそのその外側に辺縁不正の被膜様造影部分が認められた。以上より、炎症性または感染性腹部大動脈瘤の疑いで入院となった。入院後は抗生物質であるVCMとMEPMによる治療を開始したが、微熱、炎症反応の高値、激しい腰痛が持続した。入院6日目の血液培養でPasteurella multocida陽性が判明し、本症例はネコ咬傷によるPasteurella multocidaによる感染性腹部大動脈瘤の診断に至った。造影CTで大動脈瘤は54×33mm大と急速な拡大を認めたため、緊急手術を行なった。動脈瘤および周囲組織を切除し、rifampicin浸漬ゼルソフト人工血管置換と大網被覆術を施行した。術後は培養結果から抗生物質を感受性のあるSBT/ABPCに変更し、腰痛の消失や炎症反応の低下を認め、術後28日目に退院となった。
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