発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011034213
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症例1(67歳女性)。10年ほど前より自覚していた右下腹部腫瘤が最近になり増大、痛みを伴うため来院となった。腹部CTでは右鼠径部腹直筋外縁の外腹斜筋腱膜下に腸管の一部が脱出していた。鼠径管の開大はなく半月線状ヘルニアと考え、全身麻酔下にて手術を施行したところ、術中所見では菲薄化した外腹斜筋腱膜を切開すると腹膜前脂肪織に覆われた5×3cm大のヘルニア嚢がみられ、内容は小腸であった。更にヘルニア門は下腹壁動静脈の尾側に径4.5cm大で存在していた。以上より、治療としてヘルニア嚢を切除してヘルニア門の閉鎖を行い、周囲脆弱組織の補強に対しては鼠径ヘルニア用のKugel Patchを用いて固定した。症例2(80歳女性)。20年前から自覚していた左下腹部腫瘤が最近になり増大、痛みを伴うため来院となった。腹部CTでは明らかな腸管の腹壁外への脱出は認められなかったが、腹直筋左縁の外内腹斜筋腱膜の菲薄化が認められた。そこで、硬膜外併用全身麻酔下に手術を施行したところ、術中所見では外腹斜筋と内腹斜筋の間を下方に脱出する腹膜外脂肪織に覆われた10cm大のヘルニア嚢と径5cm大のヘルニア門が認められ、ヘルニア嚢の内容は小腸と大網であった。治療として切除後に結節縫合し、更にヘルニア門の閉鎖と腹壁の補強に対しては腹壁ヘルニア用のComposix Kugel Patchを用いて固定した。
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