手術vs非手術 最新のエビデンスから
腹部大動脈瘤
青見 茂之
1
,
小澤 英樹
1東京女子医科大学 心臓血管外科
キーワード:
多変量解析
,
大動脈瘤-腹部
,
治療成績
,
年齢因子
,
比例ハザードモデル
,
大動脈置換術
,
Kaplan-Meier法
Keyword:
Age Factors
,
Multivariate Analysis
,
Proportional Hazards Models
,
Treatment Outcome
,
Aortic Aneurysm, Abdominal
,
Kaplan-Meier Estimate
pp.1532-1538
発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011072404
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腹部大動脈瘤の手術適応と新しい治療方法のステントグラフト法に関して筆者の論文に文献的考察を加えた。当科において行った腹部大動脈瘤手術患者338例を検討した。平均最大動脈瘤径は60±12mmであった。病院死亡を4例(1.2%)に、遠隔死亡を80例に認めた。心臓血管関連死(突然死、不明死を含む)48例、非心臓血管関連死32例であった。全死亡回避率は5年81.0%、10年生存率54.5%であった。また心臓血管死回避率は5年90.0%、10年生存率72.5%であった。全死亡回避に関しては、多変量解析では年齢(73歳以上vs65歳以下、p=0.0001)、不整脈(p=0.03)、残存動脈瘤(p=0.05)、腎機能障害(p=0.12)が有意に予後に影響を及ぼしていた。また心臓血管関連死に関して、多変量解析では年齢(73歳以上vs65歳以下、p=0.001)、残存動脈瘤(p=0.03)、虚血性心疾患(p=0.11)、腎機能障害(p=0.13)が有意に予後に影響を及ぼしていた。なお手術時年齢については60歳代に対し70歳代、80歳代はともに有意差を認めたものの、70歳代に対して80歳代は統計的な有意差は認めず、積極的手術の必要性が示唆された。ステントグラフトは、遠隔期の成績に問題があり、慎重な適応の決定が求められる。
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