発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012214657
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86歳男。79歳時にS状結腸癌でS状結腸切除術、81歳時に白内障で手術を受けた。腹痛、背部痛が出現した。その後、食欲低下、体重減少があり、入院した。血小板数減少、フィブリン分解産物(FDP)の上昇を認め、播種性血管内凝固症候群(DIC)が疑われた。CTで解離性胸部大動脈瘤および解離性腹部大動脈瘤を認めた。DICの確定診断にはいたらなかったが、出血傾向を懸念し凝固障害の改善のため、メシル酸ガベキサートの投与を開始した。経時的CTで腹部大動脈瘤の拡大傾向を認めた。腹部大動脈瘤の切迫破裂を疑い、破裂死の予防のため、開腹で腹部大動脈瘤の切除分岐型人工血管置換、胸部下行大動脈ステントグラフト内挿術を一期的に施行した。術後一時的に血小板数は上昇したが徐々に減少し、Dダイマーなど凝固系の検査値は術前と同様であった。全身状態は順調に回復し、24病日に独歩により退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012