発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011034209
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38歳男性。患者は1ヵ月前から嚥下障害が出現し近医を受診、上部消化管検査で食道の異常が指摘され、精査加療目的で、著者らの施設へ紹介となった。入院時、食道・胃内視鏡検査では中部・下部食道に各々離れて2型腫瘍が認められた。また、生検による病理組織学的所見から中部食道病変は上皮内癌を含むhigh grade intraepithelial neoplasia、下部食道病変は中分化型扁平上皮癌で、MRI所見はT3N2M0、Stage IIIであった。治療として術前化学療法(5FU+CDGP)後に食道亜全摘術+D2郭清術、膵体尾部・脾合併切除術が施行され、術中所見では中部食道に3×3cm大の2型腫瘍、下部食道に5×4cm大の3型腫瘍がみられ、胃小彎側のリンパ節は一塊となり膵実質内に直接浸潤していた。一方、摘出標本の病理組織学的所見より本症例は内分泌細胞癌と診断された。以後、患者は手術から第17病日目に軽快退院となったが、外来にて補助化学療法が追加され、4ヵ月経過現在、PET-CT上で無再発であるものの、外来化学療法は継続中である。
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