発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106130
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1992年4月~2008年12月に施行した食道癌切除例83例のうち、他臓器重複癌例24例の臨床的特徴を検討した。内訳は食道癌を含めた二重複癌21例、三重複癌2例、四重複癌1例で、同時性8例、異時性16例(食道癌先行6例、他癌先行10例)であり、重複癌の発生頻度は28.9%で、その50%は頭頸部癌や肺癌であった。重複癌例では喫煙指数、飲酒指数とも有意に高かったが、リンパ節転移のない症例や病理病期の低い症例が多い傾向にあり、食道癌先行例では病理病期の低い症例が多い傾向にあった。また、重複癌例の5年生存率は69.7%で非重複癌例(33.4%)よりも有意に高く、食道癌先行、他癌先行、同時性、非重複癌の順に予後不良であり、定期検査の関与が推測された。重複癌でも病理病期に応じた治療成績が得られており、慎重な経過観察による早期発見・早期治療が重要であると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011