発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011002906
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88歳女性。患者は悪化したうつ症状の治療目的で著者らの施設にある精神科へ入院となった。入院後、精神疾患に対する薬物治療を開始し、うつ症状は改善傾向にあったが、食欲不振が持続し、更に排便は不定期であった。そこで、スクリーニングを行ったところ、便潜血検査が陽性であり、外科へ紹介となった。腹部CTでは右側結腸に著明な壁肥厚像と周囲リンパ節の腫大が認められ、下部消化管内視鏡では上行結腸遠位側に全周性の3型の腫瘍性病変が確認された。生検の結果、神経内分泌細胞癌と診断され、結腸右半切除術(D3)が施行し、病理組織学的にStage IIIbの上行結腸内分泌細胞癌であった。以後、年齢や併存疾患の状態を考慮し、補助化学療法は行わなかったが、患者は3ヵ月経過で右側腹部を中心とした腫瘍の再発を認め、術後4ヵ月で死亡となった。
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