発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010292463
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19歳男。当科受診の6日前に食欲不振・嘔吐・下痢が出現した。3日前に下腹部痛も出現し、近医受診した。急性腸炎と診断され、内服・補液で経過観察されていたとろ腹部痛が増強し、急性虫垂炎の診断で当科に紹介された。来院時、腹部全体が板状硬であり、血液検査で炎症所見を認めた。腹部造影CTで肝周囲に腹水を認め、また肝下面にfree air像、骨盤内の腸管内に石灰化像を認めた。これらの所見から汎発性腹膜炎と診断し、原因として虫垂以外の腸管内結石による穿孔を疑い、緊急手術を施行した。下腹部を正中切開で開腹したところ、右下腹部には虫垂も下行結腸も見つからなかったため、切開創を臍上まで延長して腹腔内の検索を行った。小腸を腹腔外に露出し、Treitz靱帯の確認を行ったところ、十二指腸の下行脚から直接に小腸が始まっていたことから腸回転異常と診断した。骨盤内に回盲部があり、虫垂は腫大し膿苔の付着があった。根部に糞石を認め、腸間膜内に膿瘍を認めた。虫垂切除術+ドレナージを行い、術後経過良好であった。
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