発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006063264
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13歳女.腹痛,腹部腫瘤,性器出血を主訴とした.婦人科におけるMRI読影結果では,卵巣の悪性腫瘍の可能性があり,卵管留膿腫が形成されているとのことであった.しかし,腫瘍マーカーでCA125が高値を示した以外は正常であった.また炎症所見があり,当科受診時にはWBCの増多を認めた.単純X線にて腹部は膨満し,下腹部全体に腫瘤様陰影がみられ,腸管は上方に圧排されていた.MRI T1強調画像では下腹部全体に腔のある嚢胞状陰影が存在し,境界はやや厚い線維性の組織で構成されているように思われた.またT2強調画像では高濃度の粘稠な液体が貯留している状態で,鏡面形成像がみられた.超音波像では下腹部に嚢胞がみられたが虫垂は描写できず,また卵巣もはっきり同定できなかった.開腹所見より壊死性虫垂炎による穿孔性腹膜炎と診断,ドレナージのみで閉腹した.一時糞瘻を形成したが次第に閉鎖し,約1年経過現在,特に問題は認められない
©Nankodo Co., Ltd., 2005