発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006321775
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30歳男.患者は腹痛,発熱を主訴とした.臍周囲に圧痛点があり,軽度の反跳痛を認めた.単純X線では左側腹部のみに大腸ガス像を認め,CTでは右側腹腔内は小腸像のみで,下行結腸からたどると上行結腸は左上腹部へ移行していると考えられた.また,盲腸部付近に虫垂の腫大が疑われ,上腸間膜静脈rotation signは認めなかった.腸回転異常を伴う虫垂炎を疑い,確定診断目的で緊急腹腔鏡手術を施行した.その結果,小腸は腹腔内右側,結腸は左側に偏在し,盲腸までたどると大網に覆われ腫大した虫垂を認めた.炎症が高度で十分なドレナージが必要と判断し,開腹術に移行して虫垂を切除した.組織学的所見では虫垂憩室が散在し,憩室周囲へ炎症細胞の浸潤を認め,虫垂憩室炎と診断された.術後,注腸検査では上行結腸は腹部正中からやや左側に移行し,盲腸は左側腹部に認めた.経過良好で,第10病日目に退院となった
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