発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010292462
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77歳男。左側腹部痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した。左側腹部に圧痛・反跳痛・筋性防御を認めた。腹部超音波検査で肝臓全体に瀰漫性で粟粒状の高輝度エコーを認めた。腹部CTで肝後区域に門脈内ガス像、左側腸管に浮腫状変化を認めた。翌日のCTでは門脈内のガス像は消失していたが、新たに両側胸水の貯留を認めた。これらの所見から腸管壊死に伴う腹膜炎と診断し、緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内には黄色調の混濁腹水が貯留しており、回腸末端より30cmの部位から口側へ約50cmにわたり腸管壊死を認めたが、穿孔は起こしていなかった。壊死腸管を含めた小腸部分切除術を行い、切除標本の病理組織所見から非閉塞性腸管虚血症と診断した。術後経過は良好で、13日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010