発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010292460
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54歳女。受診の5年前から右乳房の腫瘤を自覚していたが放置していた。腫瘤は徐々に増大して巨大化し、その重量で日常生活に支障をきたすようになったため受診した。右乳房は全体が直径30cmを超える硬い腫瘤に置換されており、乳房皮膚は伸展・菲薄化のため暗赤色を呈していた。CT検査では内部構造がほぼ均一な二胞性の腫瘤が認められ、超音波検査でも均一な内部エコーの腫瘤として描出された。針生検の所見から良性葉状腫瘍と診断し、切除術を行った。切除標本の割面は35×28cm大で、重量は7500gであった。割面は分葉上の隔壁によって灰白色の嚢胞部分と黄白色粘調な充実部分および壊死部分に分割されていた。病理組織所見は、短紡錘形腫瘍細胞の充実性増殖を認め、上皮も過形成を伴っていた。黄白色粘調な充実部分において細胞濃度が最も高く、同部では核分裂像が著明であり、悪性葉状腫瘍と診断した。術後経過は良好で、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010