発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010292461
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34歳女。10年ほど前に左乳房のしこりを自覚し、他院で線維腺腫の診断を受けた。経過観察されていたところ、徐々に増大し、乳房の左右差が著明となり、今回、その摘出に際して整容面への配慮から当科に紹介された。腫瘍は乳房外側CDの境界周囲に存在しており、直径約10cm、表面平滑、境界明瞭、周囲との癒着はなく、可動性良好で、画像所見から脂肪を含む良性腫瘍と考えられた。術前デザインとして、座位で下着のラインおよび正面視における乳房外側のラインをマークした。正面から傷がみえないようにすることと、下着のワイヤーに傷があたらないようにするために、inframammary creaseのさらに2cm外側の部分に切開線をおいて腫瘍摘出術を行った。腫瘍は薄い被膜に覆われ、周囲組織から容易に剥離可能であり一塊に摘出した。摘出標本の大きさは85×75×35mmであった。摘出欠損部による乳房のvolume不足を補うために、切開部より外側の側胸部脂肪織を浅在筋膜深層に縫合し、さらに浅在筋膜浅層同士を縫縮した。術後6ヵ月の時点で乳房に明らかな左右差は認めず、形状も保たれている。
©Nankodo Co., Ltd., 2010