発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017135890
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58歳女。乳房腫瘤増大と悪臭、下肢の浮腫を主訴とした。初診時には左乳房全体を占める一部自壊した巨大腫瘤と著明な腹部の膨隆を認め、胸腹部CTでは左乳房の腫瘤(20×13×16cm大)と後腹膜腔に境界一部不明瞭、低濃度で造影効果の乏しい腫瘤(長径30cm大)が描出された。腹部MRIでは脂肪成分を主体とする巨大腫瘤の内部に隣接して、Gd造影脂肪抑制画像で造影され高信号を呈する非脂肪性脱分化部を認め、感染コントロールを考慮して広範囲皮膚切除を伴う乳房切除術を先行し、1ヵ月後に後腹膜肉腫切除+左腸腰筋切除を行った。病理組織学的所見では左乳房腫瘤は葉状腫瘍境界病変、脂肪肉腫は脱分化型脂肪肉腫と診断され、いずれも原発性と考えられた。乳腺術後約9ヵ月で腹腔内再発と肺転移をきたし、術後1年6ヵ月で死亡したが、その間、葉状腫瘍の再発は認めず、患者の生活の質も改善した。
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