発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010160803
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72歳男。心窩部重苦感、嚥下時のつかえ感を主訴とした。上部内視鏡にて胸部下部食道に2型腫瘍を認め、生検、上部消化管透視、胸腹部CT各所見より、胸部下部食道癌で低分化扁平上皮癌であった。胸腔鏡補助下で3領域郭清を伴う食道亜全摘術、後縦隔経由頸部食道胃管再建術を行った。病理組織所見では大小不同の類円形の核を有する腫瘍細胞の増生、HMB45染色陽性で、メラニン顆粒は認めず、原発を思わせる黒色腫は他臓器に認めなかったことより、メラニン欠乏性食道原発悪性黒色腫と診断した。術後経過はほぼ順調で、21病日に退院となった。退院後はDAV療法を行ったが副作用のため中止し、CT、PET-CTにて経過観察中に肝転移を認めた。CDDPによる肝動注療法を約3ヵ月行った後、肝S7部分切除を行ったが、術後3ヵ月に手術操作が及んだ部位を中心に多臓器の再発が出現した。DTIC単独全身化学療法を行ったが全身状態は著明に低下し死亡した。
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