発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010160802
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過去8年間の膵切除後腹腔内出血症例8例について検討し、出血の頻度軽減を目的とした術式の変遷とその結果を比較した。腹腔内出血は膵頭切除113例中7例、尾側膵切除47例中1例であり、原疾患は胆管癌3例、膵癌術後の出血例は認めなかった。全例で膵液瘻とそれに伴う感染を認め、8例中5例でMRSAを同定した。1例のみが術後3日に出血し、7例は晩期の出血であった。出血部位の最多は総肝動脈4例で、胃十二指腸動脈断端からの出血は認めなかった。出血後は全例に血管造影を行い、interventional radiology(IVR)で止血を試み、成功率75%であった。Omental flapによる膵液瘻の頻度の変化を認めなかったが、出血頻度は減少し、密着法導入以降、腹腔内出血はなかった。術後膵液瘻は膵頭切除で軽減を認める。一方、尾側膵切除は出血頻度は極めて少ないが、膵液瘻の出現率は膵頭切除より高かった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010