発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010155750
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91歳女。左大腿骨頸部骨折にて手術を受け、術後に経皮内視鏡下胃瘻造設術(PEG)を施行されたが漏れがあり、PEGバンパーの逸脱を指摘され腹膜炎疑いで当科紹介となった。腹部に圧痛と筋性防御があり、左上腹部に留置されたPEGチューブは回転不良で、左側腹部は膨隆し、下腹部から陰部にかけて変色域がみられた。また、弛緩性の水疱形成もみられた。検査所見ではFDPが昇、AT IIIが低下していた。腹部CTでPEGチューブは胃から逸脱し、挿入部から左側腹部、背部にかけて空気層、膿瘍腔に形成を認めた。腹膜炎、懐死性筋膜炎を疑い手術を施行し、PEGバンパーは腹壁内に逸脱していたため抜去し、胃壁瘻孔部は切除して、減圧目的に胃瘻を造設した。更に、腹壁膿瘍治療のため左側腹部変色域辺縁に切開を加え、広範囲にdebridementと剥離洗浄を行い、ドレナージチューブを留置した。術後全身状態は一時好転したが、敗血症により術後14日目に永眠した。
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