発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012187919
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83歳男。経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後の発熱と腹部膨満を主訴とした。糞便中のClostridium difficile(CD)毒素は陽性で、CT所見より偽膜性腸炎を疑い、胃瘻よりvancomycin(VCM)を投与した。翌日より全身状態は急速に悪化し、著明なアシドーシスを認めた。S状結腸内視鏡では明らかな腸管壊死を認めなかった。内視鏡直後に呼吸停止となったため人工呼吸器管理を行い、開腹手術を行った。術中の結腸内視鏡検査にて、直腸から横行結腸にかかる偽膜形成を認めた。以上の所見より、重症型偽膜性腸炎と診断した。本例はPEG造設状態であるため結腸亜全摘術は行わなかった。虫垂切除後に盲腸瘻を作成し、VCM投与と腸管内圧の減圧を行い、術後人工呼吸管理、持続的血液濾過透析を行ったが全身状態は改善せず、術後30時間で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012