発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010155749
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
69歳男性。上腹部不快感と黒色便を認め、内科で胃の低分化型腺癌を指摘された。上部消化管バリウム造影および内視鏡検査では、胃体中部小彎側に粘膜壁の集中像を伴った陥凹性病変を認めた。また、胸部所見で呼吸音の低下と軽度連続性ラ音、呼吸困難時に喘鳴を認め、Hugh-Jones分類V度であった。肺機能検査では高度混合性換気障害型を呈し、胸部X線では肺の過膨所見と肺紋理の減少、CTでは胸膜の肥厚、左背側に中等度のブラおよび両肺野全般にlow attenuation areaを認めた。術前2週間より中心静脈栄養を開始し、麻酔導入時にはmethylprednisoloneを静脈内投与し、胃全摘術、Roux-en-Y再建、空腸瘻造設術を施行した。術後は気管支拡張剤、喀痰吸引、ステロイド投与を要したが、血液ガス検査所見は改善した。なお、術後2日目より中心静脈栄養を開始し、12日目まで継続した。肺合併症はなく、術後15日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010