発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009331711
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69歳女。肛門からの腫瘤脱出を主訴とした。入院時、6cm大の暗赤色で軟らかい易出血性の絨毛腫瘍が肛門外に脱出・嵌頓していた。直腸絨毛腫瘍の肛門外脱出・嵌頓と診断し用手還納を試みたが、出血と疼痛のため還納不可能であった。緊急手術を施行し、脊椎麻酔下にジャックナイフ体位で肛門を拡張し、脱出した腫瘍を直腸内に還納した。直腸を観察したところ、歯状線から4cmのRb、11時方向に腫瘍の茎を認めた。腫瘍周囲にepinephrine生理食塩水を注入して浮き上がらせた後、茎の根部を鉗子で把持して切離した。断端は腸管の短軸方向に吸収糸で2層縫合閉鎖した。腫瘍は55×50×35mmの絨毛腫瘍で、白色の硬い茎を有しており、病理組織所見は絨毛状、微小乳頭状に増殖する腫瘍細胞が粘膜内に限局してみられ、極性の乱れや構造異型を伴っていた。診断はPapillary adenocarcinoma in tubulovillous adenoma、m、ly0、v0であった。術後5日に軽快退院したが、半年後の大腸内視鏡検査でS状結腸に絨毛腫瘍を認め、内視鏡的切除術を施行した。病理診断は前回と同様であった。現在経過観察中である。
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