発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328907
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77歳女。患者は腹痛および嘔吐を主訴とした。75歳時に胃癌で迷走神経温存幽門側胃切除術を施行され、緩和ケアの目的で、著者らの施設で紹介となった。イレウス管造影では造影剤を注入したところ、辺縁整の透亮像が確認され、造影後CTでは楕円形で外部は高濃度、内部は低濃度の含気性があると思われる腫瘤、または異物を疑う像が小腸に認められた。また、腹部超音波では小腸の閉塞部位に一致して、カラードップラ法で血流のない、長径約40mmの音響陰影を伴う円弧状の高エコーが認められた。胃切除後であることから落下胃石を疑い、以前のCT等を再検討すると、胃内に同様の特徴を有する腫瘤像が確認された。以上より、本症例は落下胃石によるイレウスと術前診断され、開腹手術を施行した結果、腸管壁を切開後、62×40mm大の胃石が摘出された。この胃石の割面は黄色、スポンジ様で、中心に核となるような明らかな構造物は認めなかった。尚、術後のイレウスに関しては順調に改善し、術後4日に経口摂取が可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009