発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012040611
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15歳女。腹痛、嘔吐を主訴に受診した。腹部はやや膨満し左下腹部に圧痛を認めたが、腹膜刺激症状はなく、脱毛症も認めず、WBCと白血球の増多を認めた。腹部X線では小腸ガス像と鏡面像を、造影CTでは胃内および拡張小腸にガスを含む構造物を、上部消化管内視鏡では胃内に巨大な毛髪塊を認めた。再度の問診で12歳頃よりストレスを感じると毛髪をかむ癖があると判明し、毛髪の胃石および落下石の嵌頓による小腸閉塞と診断し、小切開での開腹手術を施行した。近位回腸は浮腫状で拡張していたが血行障害はなく、小腸拡張部遠位端に腫瘤が存在して閉塞機転となり胃内にも腫瘤を触知した。胃体下部前壁および回腸に縦切開を加え毛髪塊を除去し、症状は消失した。胃内毛髪塊は12×4.5cm、回腸毛髪塊は10×4cmであった。再発を防ぐため情緒障害の原因改善および経過観察が重要であると考えられた。
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