発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009290343
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32歳男性。患者は夕食後からの左上腹部痛に対し、精査加療の目的で入院となった。所見では左上腹部に自発痛と圧痛、WBC増加とCRPの軽度高値が認められた。また、第3病日目の採血では貧血がみられたが、内視鏡では異常なく、造影CTにて左上腹部に血腫様の造影されない高吸収域が認められた。一方、MRIではT1強調で水よりやや高信号、T2強調でやや低信号の内部に液体を含む嚢胞性病変がみられた。更に血管造影では動脈相で左胃大網動脈の狭小化、静脈相で脾静脈の圧排像が確認された。以上より、本症例は網嚢内の出血が疑われたが、第16病日目に再度、CTを行ったところ、左上腹部の腫瘤の辺縁は低吸収域、中心は高吸収域を呈していた。特発性大網出血と診断され、第18病日目に手術が行われた結果、術中に網嚢内左側に血腫が認められ、出血源は左胃大網動脈と考えられた。対処として血腫の除去と同部位の大網を切除し、術後に腸閉塞を発症したもの、以後、保存的に軽快し、患者は第40病日目に退院となった。
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