発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246578
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36歳女。1年前より左乳頭先端の一部が淡紅色に変化し、軽度そう痒感を伴うようになった。皮膚科で湿疹と診断され、外用ステロイド剤塗布を断続的に行っていたが、色調変化の範囲が徐々に拡大し、生検で腫瘍性病変を疑われた。超音波で左乳頭内に腫瘤性病変は描出されなかったが、ドプラで著明な血流増加を認めた。乳頭に限局した腫瘍性病変が示唆され、生検所見と併せて乳頭部腺腫を考え摘出術を施行した。皮膚切開は色調変化部位から1mm離し、周囲組織よりやや硬く触れる病変部を用手的に確認して摘出した。摘出後は乳頭を襟巻き状に形成して縫合した。病理組織所見で、乳頭部集合管内に2層性を保つ上皮成分の乳頭状・管状増殖を認めた。一部で上皮細胞の重層化がみられたが、異型性は乏しかった。乳頭表皮にPaget様細胞は認めず、乳頭部腺腫と診断された。術後2年6ヵ月経過して局所再発はなく、乳頭の整容性も保たれている。
©Nankodo Co., Ltd., 2009