発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009138550
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84歳男。左下肢腫脹と安静時呼吸苦を主訴とした。X線で心胸郭比51.9%および肺血管陰影の軽度増強を認め、CTで腎動脈下に動脈瘤を認めた。腹部大動脈分岐部直上は正常径で、約9.8cmの左総腸骨動脈瘤を認めた。MRAでも左総腸骨動脈瘤を認め、瘤より左総腸骨静脈・下大静脈が動脈系と同じ濃染度で描出された。以上より、安静時呼吸苦の原因は、左総腸骨動脈瘤が左総腸骨静脈に穿破したために生じた左-右シャントによる急性心不全と判断した。Y字人工血管置換術を施行したが、術中、瘤切開後に瘻孔からの出血コントロールに難渋したため、瘤を可及的に縫縮した。その後、人工血管左脚を左大腿動脈に吻合し、下腸間膜動脈を再建した。術後経過は良好で、術後10日のMRAで静脈系は描出されなくなった。安静時呼吸苦は消失し、心胸郭比も44.7%に改善し、術後91日に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009