症例
卵巣腫瘍と鑑別を要した孤立性総腸骨動脈瘤の2例
我妻 理重
1
,
小ヶ口 恭介
,
菅原 宏文
,
齋藤 淳一
,
宮野 菊子
,
田中 恵子
,
松本 大樹
,
星合 哲郎
1大崎市民病院 産婦人科
キーワード:
MRI
,
鑑別診断
,
超音波診断
,
卵巣腫瘍
,
腸骨動脈瘤
,
三次元イメージング
,
人工血管移植
,
腹部CT
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Ovarian Neoplasms
,
Ultrasonography
,
Iliac Aneurysm
,
Blood Vessel Prosthesis Implantation
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.635-639
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016351355
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症例1(78歳、2経妊2経産婦)。近医の整形外科にて脊柱管狭窄症の経過観察中であった。今回、CTで腹腔内左側に腫瘤を指摘され、卵巣腫瘍の疑いで、著者らの施設へ紹介となった。単純CTでは骨盤内の左側に7cm大の円形腫瘤が認められたが、腫瘤の辺縁全周性に石灰化を伴い、卵巣腫瘍としては非典型的であった。一方、経腹超音波検査におけるカラードプラ法では腫瘤内には長軸方向に走行する2cmの血流が確認された。以上、これらの所見に加えて、造影CT所見より、本症例は左総腸骨動脈から内外腸骨動脈分岐部に発生した左孤立性総腸骨動脈瘤の診断に至った。以後、初診から1ヵ月経過で左総腸骨動脈人工血管置換術を行なった結果、患者は術後経過良好にて術後8日目に退院となった。症例2(58歳、0経妊0経産婦)。下腹部の重苦感、臀部痛を主訴に近医を受診、CTにて左卵巣腫瘍を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。経腟超音波にて左卵巣腫瘍を疑い、更にMRIほか、カラードプラ法による経腟超音波検査、造影CTにより、本症例は左孤立性総腸骨動脈瘤の診断に至り、左総腸骨動脈人工血管置換術が施行された。その結果、患者は術後56日目に退院となった。
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