発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009099205
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41歳女。患者は右乳腺腫瘤を主訴に近医を受診、著者らの施設へ紹介となった。所見では右乳房上方に腫瘤が触知され、マンモグラフィ所見では腫瘤陰影はなかったものの、腫瘤部に一致して微細石灰化が散在していた。また、細胞診所見ではclass IVであった。以上、これらのことより本症例は非浸潤性乳癌と診断され、非定型乳房切除が施行されたが、今回、術後より約7年経過で右腋窩部に小豆大の小結節を自覚し、穿刺細胞診が行われた。その結果、class IIIであったが、少数の核肥大や配列の乱れを伴う乳管上皮細胞塊がみられ、切除生検が施行された。皮下結節の中心は浸潤性乳管癌であり、隣接する脂肪組織内には乳腺小葉と乳管が認められた。一方、各種免疫染色では非浸潤癌と副乳癌は生物学的にも別種の癌であることが判明し、創部皮膚と周囲脂肪組織とリンパ節を含む腋窩部広範切除が施行された。以後、1年半経過の現在、患者は内服の化学内分泌療法が施行中であるが健在である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009