膵癌の外科治療は進歩したか
膵頭部癌 拡大リンパ節郭清のエビデンス
浅羽 雄太郎
1
,
横山 幸浩
,
西尾 秀樹
,
江畑 智希
,
小田 高司
,
安部 哲也
,
伊神 剛
,
菅原 元
,
上原 圭介
,
梛野 正人
1名古屋大学 大学院腫瘍外科学
キーワード:
膵臓腫瘍
,
膵頭十二指腸切除
,
生存率
,
リンパ節郭清
,
EBM
,
ランダム化比較試験
,
システマティックレビュー
Keyword:
Lymph Node Excision
,
Pancreatic Neoplasms
,
Survival Rate
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Pancreaticoduodenectomy
,
Evidence-Based Medicine
pp.633-637
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008227106
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膵癌は消化器領域においてもっとも悪性度の高い腫瘍の一つで、治癒切除の行われた症例においてさえも、その実質的な5年生存率は10~20%と報告されている。さまざまな治療法が試みられているにもかかわらず、いまだ外科的切除が唯一の根治的治療法である。膵癌の典型的な浸潤形態として膵頭周囲神経叢、後腹膜、十二指腸、門脈・上腸間膜静脈への浸潤や腫瘍近傍リンパ節への転移があるが、これまで数十年にわたり浸潤領域の徹底的な切除ないし郭清を目的とした拡大手術が行われてきた。拡大手術の意義については本邦のものを含めこれまでに4つのRCTがあるが、いずれの報告でも否定的な結果となり、さらにこれらを含めたシステマティックレビューでも同様の結果となった。以上より、現時点で膵癌における拡大リンパ節郭清の意義はないものと考える。
©Nankodo Co., Ltd., 2008