膵癌の外科治療は進歩したか
膵頭部癌 通常型膵癌における膵頭神経叢切除の適応と意義
木村 理
1
,
渡邊 利広
,
平井 一郎
1山形大学 器官機能統御学消化器・一般外科学(第一外科)
キーワード:
医学用イラストレーション
,
局所解剖学
,
除神経
,
膵臓腫瘍
,
生存率
Keyword:
Anatomy, Regional
,
Denervation
,
Medical Illustration
,
Pancreatic Neoplasms
,
Survival Rate
pp.627-632
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008227105
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
通常型膵癌の治療戦略はさまざまであっても、「外科的に膵癌をとりきる治癒切除術をすること」は基本中の基本である。膵頭神経叢第I・II部、膵後方浸潤、上腸間膜動脈周囲神経叢はTreitzの癒合筋膜でおおわれた同じ空間に存在する構造物である。神経叢に沿って浸潤する傾向が強い膵癌の局所の完全切除のため、以下の提言をする。提言(1)上腸間膜動脈神経叢の右にある膵後方の神経・結合織、膵頭神経叢第I・II部に切り込まないようにするため、上腸間膜動脈(SMA)をテーピングし、上腸間膜動脈神経叢の右半にある膵後方神経組織をen blocに郭清する。SMAにかけたテープを上腸間膜静脈(SMV)の背面を通してSMAをSMVの右側にもってくるのがコツである。提言(2)数cm以上に縦長に及ぶ神経叢のすべての断端を迅速病理組織診断に供し、癌陽性のときには追加切除を行い治癒切除を遂行する。
©Nankodo Co., Ltd., 2008