膵癌の外科治療は進歩したか
膵体尾部癌 膵体尾部癌の外科治療
山本 順司
1
,
斎浦 明夫
,
古賀 倫太郎
,
関 誠
,
山口 俊晴
1癌研究会有明病院 消化器センター外科
キーワード:
膵切除
,
膵臓腫瘍
,
多変量解析
,
生存分析
,
腺房細胞癌
,
嚢胞腺腫-漿液性
,
膵管癌
,
Appleby手術
,
膵管内乳頭腫瘍
Keyword:
Pancreatectomy
,
Pancreatic Neoplasms
,
Multivariate Analysis
,
Survival Analysis
,
Carcinoma, Acinar Cell
,
Cystadenoma, Serous
,
Carcinoma, Pancreatic Ductal
pp.638-643
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008227107
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膵体尾部癌に対する外科治療についてはその効果について疑問視する意見もある。本研究では膵体尾部癌の切除後成績に影響する因子を評価する。1990~2005年に癌研有明病院で切除治療を受けた浸潤性膵管癌56例を対象とした。切除後の1年、3年、5年生存率はそれぞれ64%、22%、12%であった。有症状、術前腫瘍マーカー値は予後に影響しなかった。術中出血量が1,000ml未満の症例は1,000ml以上の症例より有意に予後良好であった。腫瘍側因子としては、組織学的分化度、後方浸潤(膵外神経叢浸潤を含む)の有無、腫瘍遺残、遠隔転移の有無、UICC病期が有意の予後因子であった。多変量解析では、出血量1,000ml未満、腫瘍分化度、後腹膜浸潤、gemcitabine投与が独立した予後因子であった。本研究は適切に症例を選択し、正確な手術手技と術後補助化学療法により膵体尾部癌症例でもある程度の成績を達成できるということを示した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008