膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の最新知見
IPMNに対する術式選択 膵全摘術の位置づけ
藤野 泰宏
1
,
中村 毅
,
黒田 嘉和
1兵庫県立がんセンター 外科
キーワード:
Glycosylated Hemoglobin A
,
再手術
,
膵切除
,
生活の質
,
腺癌
,
腺腫
,
膵管内乳頭腫瘍
Keyword:
Adenocarcinoma
,
Adenoma
,
Glycated Hemoglobin A
,
Pancreatectomy
,
Quality of Life
,
Reoperation
pp.525-528
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008184845
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筆者らが経験した膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)切除例80例を臨床病理学的に検討した。膵全摘術18例中9例は連続性に全領域に癌病変が広がり、3例では主病変が2領域にみられ、skip lesionが他領域に存在していた。6例は結果として膵を一部残存させることが可能であった。膵全摘術を受けた患者の1年後・2年後のHbA1cはそれぞれ7.0±1.7%,7.0±2.6%で、2例を低血糖発作で失った。IPMNに対しては、術前に良悪性の鑑別と腫瘍の進展範囲を正確に診断し、腫瘍(癌)に対する根治性とQOLとのバランスを考慮した術式を選択することが大切である。QOLの面からも可能な限り膵全摘術を避ける必要がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2008