発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008146787
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
56歳男。嘔吐、上腹部膨満感で近医を受診したが、粗大病変は認めず、症状も改善しないため、精査加療目的で当院転院となった。腹部CTにより、胃十二指腸の著明な拡張と空腸起始部のやや肛門側に約3cm大の充実性腫瘤を認め、空腸腫瘍による上部消化管閉塞症と診断した。上部消化管内視鏡により、空腸起始部の肛門側に全周囲性の2型腫瘍を認め、生検病理診断では中分化型腺癌であった。上部消化管造影では、空腸起始部の肛門側に不整な狭窄像を認めた。以上の診断から、原発性空腸癌と診断し、空腸部分切除、辺縁動脈に沿ったリンパ節郭清を施行した。30×60mm大の全周性の輪状狭窄像を呈した腫瘍で、腫瘍実質は比較的均一で漿膜付近まで及んでおり、中分化型腺癌ss、ly1、v1、n(-)であった。術後は経過良好で、退院後に補助化学療法を6クール行った。現在、再発転移の徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008