発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008119509
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症例は88歳女、約2年前から左腰部の膨隆に気づいていたが放置していた。今回、膨隆が増大し、悪心、嘔吐、腹部膨満感が出現したため受診した。左腰背部に手拳大で弾性硬の腫瘤を触知した。腹部X線とCTの所見から、結腸をヘルニア内容とする下腰ヘルニア嵌頓と診断し、緊急手術を施行した。手術は腰椎麻酔下に右側臥位で腫瘤直上を皮膚切開して行った。ヘルニア門は下腰三角で約3cmであり、そこから脱出するヘルニアが認められたため、ヘルニア嚢を剥離したうえで切開した。ヘルニア内容は下行結腸であり、色調に変化なく、壊死の所見も認めないため腹腔内に還納した。ヘルニア嚢を閉鎖し、後腹膜腔を可及的に剥離した下腰三角部にComposix Kugel Patch(C.R.Bard社)をあて、全周性に吸収糸で結節固定した。2層で閉創し手術を終了した。術後経過は良好で、術後10日目に軽快退院した。1年後のCT検査で再発は認めず、パッチの固定性も良好であった。下腰ヘルニアの本邦報告例は検索しえた限り自験例を含めて29例で、嵌頓は4例のみであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008