発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006157650
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57歳男.患者は腹痛を主訴とした.近医でCEA高値を指摘され,著者らの施設へ精査目的で受診となった.注腸造影ではRsに隆起性病変を認め,CTでは肝内門脈枝に樹枝状のガス像,左側腸管に腸管嚢胞気腫,腹水を認めた.入院20時間後,直腸癌,門脈ガス血症を伴う腸閉塞症と診断し,緊急手術を施行した.横行,下行,S状結腸は連続して壊死に陥っていたが,直腸癌と壊死腸管境界までは12cm距離を認め,正常粘膜であった.下腸間膜動脈本幹,壊死腸管近傍の腸間膜の動脈の拍動は触知可能で,血栓,塞栓形成は認めなかった.腹腔内に腸管の癒着はなく,腸間膜の異常回転も認めなかった.以上より,最終的に非閉塞性腸管虚血症を呈した直腸癌と診断された.術後,播種性血管内凝固に陥ったが第5病日目に離脱し,その後は経過良好で第44病日目に退院となった.尚,病因としては,患者に糖尿病の既往があり,下剤を契機とした蠕動運動亢進に伴う平滑筋スパスムが粘膜血流障害を起こし,NOMIにより発症したものと考えられた
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