発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010242786
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5歳女児。患者は腹痛、嘔吐、発熱、排尿痛を主訴とした。超音波では虫垂自体は同定できなかったが、回盲部腸管に著しい浮腫と麻痺、腹水、リンパ節腫大が認められた。また、CTでは骨盤腔内の腸管は著しく肥厚して一塊となり、この中に虫垂と思われる不規則な造影効果を伴った管状構造が認められた。以上より、本症例は虫垂炎穿孔を伴った限局性腹膜炎が疑われ、外科へ紹介となったものの、全身状態がよく、症状も比較的軽いことから、まず保存的治療を行うこととなった。cefcapene pivoxil 200mg/日の投与が開始された結果、翌日には高熱は消失し、第2病日目には腹痛の改善とともにWBC数、CRP値もほぼ正常化した。更に画像でも虫垂径および膿瘍径の縮小が確認された。しかし、治療開始から1週間後、超音波で腹腔内に径28mmの液体貯留が認められ、抗生剤が1週間延長投与された。そして、第14病日目に抗生剤を中止したところ、第28病日の検査では貯留していた液体は完全に消失し、再燃は認められなくなった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010