発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008008489
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65歳男性。患者は健診の腹部超音波検査で膵腫瘍を指摘され、著者らの施設へ受診となった。精査の結果、膵体部癌と診断され、膵体尾脾合併切除術が施行された。術後は補助療法として5-FUが持続点滴静注され、その後は経口抗癌剤薬(UFT-E)に変更された。外来観察としていたが、術後6ヵ月目に肝転移が認められ、肝動注化学療法が開始された。その結果、肝転移巣の縮小はみられたが、術後2年で左上腕外側ならびに左側胸部、および背部に皮膚転移が認められた。胸水細胞診が陽性であったことから、膵癌の腹膜播種が近傍の皮下組織に転移したものとが考えられた。そこで、皮下腫瘍による疼痛に対しmorphine hydrochloride製剤投与を開始したが、肝腎機能とともに全身状態が悪化し、患者は皮膚転移発覚から1ヵ月で死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007